FAQ
Q | ORiNとは何ですか? ▼ |
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A | ORiN (Open Resource Interface for the Network) とは、ORiN協議会により制定された工場情報システムのための標準ミドルウェア仕様です。現在、「ORiN2 SDK」として実用化され、PCのアプリケーションソフトウェアから、メーカー固有のFA機器 (ロボット、PLC、NC工作機械など) へのアクセス方法に合わせることなく、統一的な接続が可能となります。 |
Q | ORiNはなぜ開発されたのですか? ▼ |
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A | 工場の自動化の重要な位置を占める産業用ロボットや産業用機器もネットワーク対応が一般的となり、PCからデバイスが管理するデータにアクセスし、生産管理、設備診断などが可能になりました。しかしながら、PCとデバイス間を接続するネットワーク仕様 (メディア、プロトコルなど) やこれらを利用する仕組み (通信手段を呼び出すためのAPI仕様など) は、メーカー毎の固有なものであり、異なる通信仕様を複合させたシステムの構築には多大なコストと手間を要していました。 このような背景の下、ORiNは、ネットワーク環境において異なるメーカーや機種を超え、デバイスへの統一的なアクセス手段を提供するオープンなインターフェースとして誕生しました。 |
Q | ORiNはどのような技術なのですか? ▼ |
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A | ORiNは、産業用ロボットや産業用機器にアクセスするためのインターフェースで、アプリケーション向けとデバイス向けの二つのインターフェース (アプリケーション: エンジン、デバイス: プロバイダ) を提供しています。エンジンは、標準プログラムインターフェースと共通の機能を持ち、各デバイスの違いを意識することのないアプリケーション開発環境を提供します。プロバイダは、各種産業用機器とPCを接続する通信インターフェースを持ち、機器毎に異なる通信仕様の差異を吸収することで、上位アプリケーションに統一的なアクセス手段を提供します。 これにより、アプリケーションベンダーは各種産業用機器に依存しないでクライアントアプリケーションを開発することができ、メーカーはクライアントアプリケーションに依存せずにデバイスが持つ機能を公開することができます。 |
Q | ORiN1とORiN2の仕様について、明確な違いは何ですか? ▼ |
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A | ORiN1は監視系(I/Oや変数)のみの仕様です。 ORiN2はORiN1の仕様を更に発展させ、制御系 (MOVEなど) も加えた仕様です。 |
Q | ORiNはどんな機器と接続できるのですか? ▼ |
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A | ロボット、PLC、加工機、カメラ、センサーなどの設備機器に接続することができます。 また、クラウドや他規格 (Edgecross、FIELD system、OPC、OPC UA、MQTT、ROS、EtherCAT、FL-net、Modbusなど) との連携もできます。 |
Q | ORiNを利用したアプリケーションにはどのようなものが考えられますか? ▼ |
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A | 以下のようなアプリケーションが考えられます。 1. 生産管理システム (設備稼動状況表示) 設備の生産性の状態 (生産個数、稼働時間等) を表示 2. 機器動作モニター (簡易シミュレーション機能) 機器動作 (3Dグラフィック) 、I/O動作をPC上で可視化 3. 設備保守/診断システム 異常発生時の機器制御 (現在値、電流値) のデータ収集と解析 4. 加工/組立データ解析 外部センサーデータ (精度、製品のバラツキ) 等の測定と解析 5. 機器動作切替 プログラム起動、変数・I/O変更をPCから実行 6. 動作命令送信 PCから直接動作命令を送信 7. 自動プログラム更新 必要な時にPCからプログラムを自動的にダウンロード |
Q | ORiNの導入により、どのような効果があるのですか? ▼ |
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A | 以下のような経済効果が期待されます。 1. 製造競争力のアップ ノウハウのデータ化により生産技術力をアップします。また、自動化による品質や生産性の向上により国際的な製造競争力も期待できます。 2. ロボット市場の拡大 ロボットの適用工程が拡大し、ロボット市場の拡大も見込まれます。 3. ロボット市場へのソフト産業の進出 PC上で各社のロボットに共通なアプリケーション作成が可能となり、ロボット用アプリケーションへのソフト産業の進出が期待できます。 そして、今までにさまざまな分野で開発されたソフトウェア資源を、ロボットの分野にも活用できるようになります。 4. ロボットエンジニアリング産業の創生 PC上での共通通信環境により、ロボットエンジニアリング・導入コンサルテーション等の新しいロボットサービス産業が、 ロボットメーカーから独立して創生できます。また、これらは相互に影響しあい相乗する経済効果が期待できます。 |
Q | ORiNを使いたいのですが、どうすれば良いですか? ▼ |
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A | 「ORiN2 SDK」というミドルウェアが、ORiN協議会会員の株式会社デンソーウェーブによって販売されています。 アプリケーションの開発者はこの製品を利用することで、ORiNに準拠したアプリケーションを開発することができます。 また、付属の「プロバイダウィザード」を使うことで、オリジナルプロバイダを開発することもできます。 |
Q | どのようなプログラミング言語で開発ができるのですか? ▼ |
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A | Windows上で使われるプログラミング言語で開発が可能です。サンプルとして、Visual Basic、Visual C++、Delphi、Java、VBA、LabVIEWなどで書かれたプログラムが、ORiN2 SDKの中に含まれています。 |
Q | PC汎用言語で開発とありますが、どの程度のプログラミング能力が必要ですか? ▼ |
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A | Excelのマクロ以上、又はVisual Basic、Visual C++等のプログラミング知識が必要です。より高度なアプリケーションを開発する場合は、それに伴った知識が必要なので、専門のソフト開発会社に依頼するケースも考えられます。 |
Q | Python (パイソン) というスクリプト言語を使用していますが、 ORiN2 SDKを使用してFA機器を制御することはできますか? ▼ |
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A | PythonがWindows上で動作し、COMを呼び出せる環境であれば、ORiN2 SDKをインストールするだけでプログラム制御を行えます。 |
Q | LabVIEW (ラボビュー) という開発言語を使用していますが、 ORiN2 SDKを使用してFA機器を制御することはできますか? ▼ |
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A | Windows版開発パッケージであれば対応できます。 LabVIEWがWindows上で動作し、COMを呼び出せる環境であれば、ORiN2 SDKをインストールするだけでプログラム制御を行えます。 |
Q | ORiNを活用したサンプルプログラムはありますか? ▼ |
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A | ORiN2 SDKをインストールすると、所定の場所にサンプルプログラムが格納されます。 |
Q | プロバイダは、どのように提供されるのですか? ▼ |
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A | プロバイダは、ORiN2 SDKとして標準提供されているものや、ORiN協議会会員によって提供されるものがあります。 |
Q | プロバイダ一覧表でバイナリプログラムとソースプログラムとありますが、具体的に何が違うのでしょうか? ▼ |
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A | バイナリプログラムは、プロバイダのDLL (Dynamic Link Library) ファイルを示し、プロバイダとしてすぐに使用できます。 ソースプログラムは、プロバイダのプログラムファイル (C++) を示し、プロバイダの修正や拡張が行えます。 |
Q | プロバイダを開発する場合、実装はどのように行うのですか? ▼ |
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A | 「プロバイダウィザード」で雛形を作成し、マニュアルに従って実装します。ダイナミックバインディングに対応していますので、専用APIを設計するような感覚でプログラミングできます。 |
Q | プロバイダを開発する場合、どの位の期間 (工数) がかかりますか? ▼ |
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A | 作成期間は、一般的にテスト込みで3~7日です。 ただし、プログラミング技術があってもデバイス知識がないと工数が増大する可能性があります。 |
Q | 開発したプロバイダはどこに組み込むのですか? ▼ |
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A | 使用するPC (ORiN2 SDKがインストールされたPC) に組み込み (保存) ます。 |