ORiNの構成要素
はじめに
ORiNは、ロボットを含むFA機器にアクセスするためのインターフェースで、クライアントアプリケーション向けとデバイス向けの二つのインターフェースを提供します。これにより、アプリケーションベンダは各種FA機器に依存しないでクライアントアプリケーションを開発することができ、FA機器メーカーはクライアントアプリケーションに依存せずにデバイスが持つ機能を公開することができます。
ORiN2概要
1999年からスタートしたORiNプロジェクトの成果として、2002年にORiN version1が制定され様々なFAアプリケーションに活用されてきました。そして、そのFAアプリケーション開発の中で培われた技術をもとに新しい規格として、2005年にORiN version2 (以下「ORiN2」といいます) が制定されました。
下図にORiN2の概念図を示します。ORiN2は標準ミドルウェアとして、PCのアプリケーションソフトウェアから様々なFA機器に対し、メーカー固有の制御装置へのアクセス方法にあわせることなく統一的なアクセスを可能にします。エンジン部は、標準プログラムインターフェースと共通の機能を持ち、各デバイスの違いを意識することのないアプリケーション開発環境を提供します。プロバイダ部は、各種FA機器とPCを接続する通信インターフェースを持ち、機器毎に異なる通信仕様の差異を吸収することで、アプリケーションに統一的なアクセス手段を提供します。
またORiN2は、CAO/CAP/CRDという3つの基本技術から構成されています。CAOとは、クライアントアプリケーションやデバイスに対して、共通のインターフェースと機能を提供する「標準プログラムインターフェース」です。CAPとは、インターネット上のデバイスにアクセスする「インターネット対応通信プロトコル」です。CRDとは、デバイスが持つリソース情報をメーカーに依存することなくフォーマットを表現する「標準データスキーマ」です。
ORiN技術比較
ORiN 1 | ORiN 2 | |
---|---|---|
リリース年 | 2002年 | 2005年 |
OS | Windows | Windows、Linuxなど (CORBA仕様はOS非依存) |
言語 | アプリケーション部: Visual Basic、C++など エンジン部、プロバイダ部: C++ |
アプリケーション部: Visual Basic、C++、VB.NET、C#、Java、VBScript エンジン部、プロバイダ部: C++ (CORBA仕様は言語非依存。ただし、現実的にはバインドされている言語だけなのでVisual Basicなどは使えない。) |
通信 | DCOM、WEB サービス (RAP) | DCOM、CORBA、Webサービス (CAP) 、 HTTP (e-CAP) 、UPnP |
対象機器 | 比較的機能が高いコントローラ (PLC、ロボットコントローラ、NCなど) のみ。 |
比較的機能が高いコントローラ (PLC、ロボットコントローラ、NCなど) から、単機能コントローラ (DA/AD変換ボード、DIO ボードなど) まで。 |
対象分野 | ファクトリーオートメーションをはじめとした第二次産業 | あらゆる産業 |
デバイスプロファイル | XML スキーマ(RRD) | XMLスキーマ (CRD) 、UPnP Device Description |
フレームワーク | 抽象コントローラを定義し、アプリケーションはそのコントローラを操作する。プロバイダは抽象コントローラと実コントローラとの違いを埋める。 | 左に同じ。 |
インターフェース | アプリケーション向けインターフェースと、 デバイス向けインターフェースを規定。 |
左に同じ。 |
モジュール開発支援 | ORiN1 SDKにサンプル、ドキュメント、簡易テストツールなどを同梱。「プロバイダウィザード」で、プロバイダのC++スケルトンプログラムが自動生成可能。 | ORiN2 SDKにサンプル、ドキュメント、統合テストツールなどを同梱。「プロバイダウィザード」で、プロバイダのC++スケルトンプログラムが自動生成可能。 |
コンフィギュレーション サービス |
RaoConfigによるセキュリティ設定など。 | CaoConfigによるセキュリティ設定や言語ロケール設定など。CaoSQLConfigによるモジュール構成とソフトウェア配線、データ型変換など。 |
アプリケーション開発支援 | 市販の開発環境 (Visual Studio、VS.NET、 Eclipseなど) を使用可能。 | 左に加え、ORiN2 SDKに同梱される「CAOスクリプト言語エディタ」で簡易プログラムを開発可能。 |
本サイトでは、CAOアプリケーション=
ORiNアプリケーション、CAOエンジン=ORiNエンジン、CAOプロバイダ=ORiNプロバイダと表記しています。